愚か者のFX-12-

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トレードを管理する ーリスクリワードの誤解と「手仕舞いの本質」ー

トレーダーがチャート上でできることはあまりない。トレードをするかしないかの判断と、トレード中の経過観察、そして手仕舞いである。突き詰めればこの三つだけだ。それにもかかわらず、トレードは複雑に語られすぎている。特に「リスクリワード」という言葉は、理解したつもりで誤解されやすい。リスクとは損失、リワードとは利益。リスクリワードレシオとは、期待損失と期待利益の比率だ。一般には「1:2」「1:3」が望ましいと言われる。勝率が低くてもトータルでプラスになるからだ。しかしここに落とし穴がある。

多くのトレーダーは、損切はここ、利確はここと事前にラインを決めることで、トレードを管理した気になっている。過大な利益を妄想せずに確たる判断材料を元に明確な決済ラインを設けることでトレードの質を高めることと、想定とは違った値動きを見せた場合に過大な損失を防ぐための資金防衛を徹底することで口座資金を安定して守ること。これは半分正解で半分間違っていると思っている。問題なのは、波の大きさを無視して数値だけを先に固定してしまうことだ。チャートは1:2や1:3で動いているわけではない。波にはサイズがあり、構造があり、否定点と完結点がある。波を無視して数値だけをあてはめた瞬間に、それはチャート本位ではなく、自分本位のトレードになるのだ。

管理が外れる瞬間

管理とは何か。それは、ポジションが常に自分の管理下にある状態を指す。トレード前にエントリー根拠、損切り、利確を決めるのは、トレードを管理下に置くためだ。ではその管理が外れる瞬間はいつだろうか。それは自分ではコントロールできない時間帯に入るときだ。典型的なのが、週末の持ち越しである。

あるポジションを保有しているとする。例えば天底からの反転に乗り込んで含み益が100pipsにでも迫ろうかという状況だ。閉場直前の、まだ窓の外が暗い早朝にあなたは一人チャートを見ている。どうやらこのまま放置して週末持ち越ししても利益はまだ伸びそうだと考えられる。根拠はある。例えば普段から監視している1時間足でいつものように観察しているが、陰線が連続しており相場のモメンタムは途切れていない。自らの分析によるところのネックラインにはまだ少しゆとりがある。利益確定ラインまで伸びていけばさらに25pipsから35pipsくらいは上積みできそうだ。すでに100pipsの含み益があるし、ストップは建値に移動させているから、仮に多少戻しても大丈夫だろう。あと20pips上積みできれば今月の儲けは目標に届きそうだからぜひともものにしたい。こんなことを考えながらチャートを見ている。「このまま持ち越しても大丈夫そうだ」「週明けにもう一段伸びるかもしれない」。そう考えた瞬間、トレードは管理外に出る。週末の間、価格は完全にコントロール不能だ。窓が開けば、ストップは意味を失う。この時点で、事前に決めたリスクリワードは崩壊している。ここで顔を出すのが、希望だ。

利益を期待し、損失を過小評価し、「ストップがあるから大丈夫だ」と自分に言い聞かせる。だが、含み益も含み損も、決済するまではすべて仮定だ。潜在的で、未確定で、市場のものだ。リスクリワードを考えるとは、潜在的な利益と潜在的な損失を、常に管理できているかを問うことだ。管理できない状況に入るなら、その時点で手仕舞いすることは逃げではない。合理的な判断だ。

トレードとは、エントリーして終わる行為ではない。手仕舞いまで含めて一つの行為だ。エントリー根拠と保有中の判断と手仕舞いの判断が同じ時間軸、同じ波、同じ前提で貫かれているか。手仕舞いだけ別ルールになった瞬間、トレードは管理を失う。規律あるトレーダーが一貫した成績を残せるのは、すべてのポジションを最後まで管理下に置いているからだ。リスクを想定してリワードを期待するのと、リワードを確定してリスクを回避するという違いである。短期トレーダーはこういったメンタルで相場に臨むが、スインガーとなると週末持ち越しも含めたポジション管理が必要になるのでスインガーに対しては別の考え方になるということは留意されたい。そして常にチャートを監視することが経過観察ではないということも但し書きしておく。

波を基準にする

1:2や1:3という比率は、計算上の持続可能性を示す指標にすぎない。チャートは、その比率を守って動いてはくれない。波の中を切り取って1:2や1:3に当てこもうとすると、その切り取った枠外の波の動きは想定外ということになる。なぜなら1のリスクに対して2のリワードを期待する時、その1が口座残高に対しての場合とpipsに対しての場合で、明確にその波の切り取る枠の大きさが変わるからだ。100のサイズで動く波の中の20の枠の範囲でリスクとリワードを求めることは波の値動きを無視した範囲設定だ。なぜなら100のサイズで動く波の期待値は20の枠の範囲を遥かに超えている。そしてその潜在的損失もまた然りである。

波のサイズに対して、損切りは波形を否定するポイントか、利確は一度波が完結しやすい場所か。それが重要だ。ロットとは、波のサイズに合わせてリスクを調整するための道具だ。利益を無理に作るための道具ではない。自分本位ではなく、チャート本位で考える。それが、本当の意味でのリスクマネジメントだ。

管理できているトレードとは、ポジションが常に管理下にあり、管理できない時間帯に入らず、波の構造に沿って損切りと利確が置かれ、手仕舞いまで同じ前提で貫かれている状態だ。これができている時には、不思議なほどストレスがない。

トレーダーはチャートを支配しない。抗いもしない。ただ、波に合わせて帆を広げ、自分を調整する。
それができたとき、リスクリワードは「考えるもの」ではなく、結果として現れるものになる。

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“愚か者のFX-12-” への1件のフィードバック

  1. […] H4でもWボトム構造が発生している。青水平線は構造否定ラインSとして機能するもので、緑四角の範囲がノートレードで観察していた期間となる。結果はD1実体を伴った上抜けで、緑切り下げラインも越えた形となった。それゆえにここからの押し目形成が効いて、さらなる上昇へと繋がった。構造的には上抜け優位と画像にも注釈しているが、この優位性の根拠は過去の週足レベルの波形構造を踏まえた観測があったからだ。この週足レベルの波が、支配波と呼んでいるものだ。支配波はその水平線上と支配的角度のもたらす斜線上にその影響を及ぼすものと定義している。今回は特に黒波3波の起点からその高値までの範囲を今回の観測における支配波として見ている。この支配波の高値を超えると、水平線上の影響は一定の脱却をして、さらに1つ前の支配波である黒波1波からの流れを汲むことになる。説明するとさらに展開できることはあるが、要するに過去の波の影響を現在に受ける時間のフラクタルという概念はここから発生している。だから週足構造に見られたWボトムがH4構造の中で再現んされていることは、私にとって何も不思議ではない。支配波の影響を受けた継承波はその自己相似を持って整合性を取りに来るからだ。しかし、そのような理論が充実していたとしても相場の不確実性は制御できるものではない。自然現象が制御不能であるのと同じように、相場もまた然りである。そしてこの159.40の攻防は週末であった。過去には連載の中で、リスクリワードを考えることは管理できる状態であることだと書いた。つまり現象に対する観測者の役割というものがあるということだ。トレーダーはその自己規律を持って観測者としての立場を守る必要がある。週末持ち越しをするなというわけではなく、管理思考それ自体が相場に希望を持ち込まないということでもある。そんな風にしてただ相場を見ているだけではなく、状況に応じた任務をこなしながらも観測軸は維持しなければならない。つまり、159.40を実体で抜けるのか、ヒゲでも戻されるのかという視点だ。 […]

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