ケースバイケース?

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先日のトレードについて、その後似たような場面があった。
トレード手法と聞くと、何か画一的なことのように思えるが、実のところはその前段階の環境認識という部分が何よりも大切になる。




上記のトレード方法の大きな特徴は20EMAと20SMAの間隙を縫うような値動きを踏まえたものだ。
EMAはSMAに比べて直近の値動きが重視されるので、SMAに比べるとより鋭敏な反応をする。その差を踏まえることで、EMAの後にSMAへの差し込みを想定することができる。
そういった要が、詰まるところ「待つ」姿勢を自然と養うことに繋がる。
しかしながらそこだけに注目してトレードしようとすると、必ずと言っていいほど失敗するものだ。
なぜ失敗するかというと、環境が違うからだ。この場合の環境とはその値動きが発生している全体的状況のことだ。
チャートは広く見なければならない。これは自分の中で常に意識していることでもある。
そうした視点で見ると、下記のチャートは上記で述べたトレードの状況とは異なることがわかる。
ドル円ではWトップなのかという状況で似たような値動きが発生した。
「高値から大きな陰線によって20EMAを下抜けてその切り返しが20SMAに抑えられた場面である」
この要約した説明にはいろいろと抜け落ちている点がある。
前回の値動きと比べながら見ると様々な違いが見て取れる。

まず高値から陰線で20EMAを下抜けした点は同じだが、左側の波は高値-安値-高値の値動きで下降トレンドを作ろうとしている中での値動きだ。
右側は高値-安値-高値-安値となり、その後の高値が戻り高値を超えているのである。この瞬間この小さなダウントレンドはトレンドレスの状態になった。
またこの波の動きの違いは移動平均線を見てもわかる。
左側はEMAとSMAの傾きが下向きで角度をつけているが、右側は直近の値動きをより重視するEMAの働きによってEMAは平行気味になりSMAも角度が緩くなっている。
そして何よりも、右側の波は青いトレンドラインに接しようかというほど下げ余地がほとんどないところまで来ているのである。
この下げ余地があるかどうかが見えるだけでも、トレードの可否判断は格段にしやすくなる。
また黒ダウントレンドラインの当てどころとしても、1点目と2点目が近すぎるとトレードしづらくなることも特筆できる点だ。
ある程度の規模感がある波の方が、スイングは大きくなり値幅を取りやすくなる。
ユロ円でも同じようなことが言える。
特に青いトレンドラインがすぐそこにあることは、このトレードを採用しない理由にするには十分すぎるほどである。
こうした下げ余地の有無を重視することによって、リワードの小ささを正確に評価することができる。
例え小さなトレンドが確定しようとも、その規模で終始することを示唆しているという側面を持つことは非常に大事なフィルターだ。
黒いダウントレンドラインの角度が急すぎることも懸念材料とすることができる。
おおよそ理想的なトレンドの角度というものがあって、45度~60度くらいが理想的な角度だと認識している。
急な角度は継続性が弱く、一過性の値動きになりやすい傾向がある。
これはこの値動きが単なるチャート上の数値ではなく、実体ある世界の金融市場の在り方を示すものだからだ。
それが取引量の大きなものであればあるほど、よりダイナミズムをもたらしゆったりとした波を作る。

ポン円はどうか。こちらはトレンドラインをすでに割り込んでいる。
赤丸のところから飛び乗りしようとしても、すぐ下に上位のMAが抵抗帯として存在していることはネガティブ要素だ。青波のような値動きを想定しなければならない。
そこを見送ると、実際の波が水平線と黒切り下げラインへのリテストを取る動きとなった。ここで乗り込めて置ければ利益は得られたかもしれないが、先述したリスクを勘案すると、やはり乗りどころではない。
むしろ当初の想定していたオレンジ水平線へのリテストを待ってから、売りどころを探すべき場面だ。
売りのポイントとしてはやはりショート方向であれば20EMAと20SMAのデッドクロスを意識したい。
実際デッドクロスした緑〇部から大きな下落となっているので、乗るべきポイントとしてはここが最適といえる。

似たような値動きの中でトレードの可否を判断するための環境認識がいかに重要かを検めた。
うまくいったトレードを真似たはずなのに失敗した、という時はたいてい環境認識の差である。
すべて同じやり方というわけにはいかないのだ。確たる環境認識があって初めて機能するのがトレード手法だ。

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