愚か者のFX-7-

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ダメだと分かっていても止まれなかった理由(内面編)
ートレードに潜んでいた前提ー

ダメだと分かっていても、やってしまう。これはトレードをしていれば誰もが一度は直面する問題だと思う。
ただし私の場合、この「やってしまう」は少し奇妙だった。感情が爆発するわけでもなく、焦ってエントリーを連打するわけでもない。むしろ驚くほど冷静なまま、誤ったトレードを続けてしまうのだ。
自分でも異様だと思った。なぜ止まれないのかが分からなかった。

依存でも強迫でもない何か

FXにおける問題行動として、まず思い浮かぶのはギャンブル依存症だろう。
しかし私の場合、借金をしてまでのめり込むことはなかったし、過去には自主的に相場から距離を取ることもできている。生活が破綻していたわけでもない。
また、何が何でもエントリーしなければならないという強迫的な思考に囚われていたわけでもなかった。
波の出現を期待することはあっても、エントリーそのものを義務だと感じたことはない。
つまり私の問題は、単純な依存や強迫では説明できなかったのだ。

自制心では説明できない違和感

私はこれを長い間「自制心の欠如」と考えていた。しかしそれでは説明できない違和感があった。
もし自制心が欠けているのなら、もっと分かりやすく破綻してもいいはずだ。
だが私は、どれほど誤ったトレードをしても、どこか落ち着いていた。静かに、淡々と、間違いを重ねていた。

もしかすると私は、心のどこかで
「破綻しない」と思っているのではないか
そう考えるようになった。理性の喪失でも欲望の暴走でもない何かがそこにあった。

静かな諦めという感覚

私は生まれつき耳が悪く、子供の頃は補聴器をつけていた。
思春期には何となく嫌で補聴器なしで生活できていたくらいだが、その頃から漠然と「将来、聞こえなくなるかもしれない」という予感を抱いていた。
そのことに対して、私は激しく取り乱すことはなかった。怒ることも、泣き叫ぶこともなく、ただ静かに受け止めていた。それは悲観というより、諦めに近い感覚だったと思う。
この感覚は、トレードにも影響していたのではないか。
だから私は、誤ったトレードをした時も暴れることなく静かに絶望する。感情の表出が極めて少なく、一見して自分でも自分がパニックに陥っていると認識できないほどの落ち着きの中で混乱していたのは、思春期の頃に達した精神的通過点の影響だったのだ。思春期の人格形成は明らかに私のトレードに影響していると思われた。ある種の消失への諦めが例え失敗してもいいという意識を生み出し、ここでトレードするのはダメだという自己抑制をとてつもなく遥かな高みから凌駕していたのだと思った。

破綻は回避できるという確信

私は過去に、相場から距離を取るという選択を実際に行っている。ストップロスを常に設定し、口座資金が尽きる前に撤退できた。どんなに苦しみぬいても負け続けても、マイナスになる前に自らの意思で相場から離れることができた。
つまり私は、「最悪の事態は回避できる」という成功体験を持ってしまっていた。
破綻が迫っていても土壇場でそれを回避することができるので真の破綻はしないだろうという確信めいた自信。これは恐ろしく根深い問題だ
失うことへの静かな諦めと、破綻は回避できるという自信。この二つが重なった結果、ダメだと分かっていても止まれない状態が生まれていたのだと思う。

意志ではなく前提の問題だった

ここまで考えて、ようやく理解した。
これは理性と欲望の問題ではない。行動を制御する前提の問題だった。
もしそうであるなら、どれだけ自分を戒めても、この問題は解決しない。
必要なのは、意志ではなく構造だった。
これが真相とすれば理性と欲望の問題ではなくなる。価値観そのものの問題だ。
私が「どう失敗を捉えてきたか」という問題だったのだ。破綻への諦めと真の破綻を回避できるという矛盾した自信を持ち合わせている私という在り方。この歪な魂を理想の形へ導かなくてはならない。
そしてそれは抽象的な精神論や自戒と自責の念を分解して得られるようなものではない。
ダメだと分かっていても止まれなかった理由が、自分の価値観の前提にあるのだとすれば、次に考えることは明確だ。

自分を信用しすぎないための仕組みだ。ありのままの私がありのままにトレードすればそうなってしまうのだとすれば、仕組みで制御してみてはどうだろうか。

参考として自制心の欠如とその克服に関する小話としての下記の記事を紹介する。

ダメと知っていてもやってしまう自制心のなさ「アクラシア」を克服するための3つの方法 – GIGAZINE

https://gigazine.net/news/20180820-akrasia-effect

この連載: 愚か者のFX (7 / 14)
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