愚か者のFX-2-

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過去のトレードを振り返ってみると、散々な記録であることは確かだった。そして出会った知識の割に習得できたものがいかに少ないのかも厳然たる事実であった。しかし他にも得るものはあった。

私はどんなトレーダーになろうとしていたのか。トレーダーとしてどんな資質があったろうか。ライントレードを繰り返していくうちに、エリオット波動の3波を取ることを意識しつつも、その中に現れる波の形を気にしながらトレードしていたことに気づく。

底値のWボトム、天井圏の三尊、押し戻りの中に現れるフラッグ、はたまたチャート全体のチャネルやウォルフ形状などもあればハーモニックパターンなど、どれもこれもとても魅力的に見えた。しかしその全てはNとWの中にあって基本の形は同じだった。

ラインを使ってエリオットの波に乗ろう、グランビルの法則に従おうと意識しながらも、私は絶えず波の形を見ていた。それに気づいたとき、私はライントレーダーではなく波形トレーダーだと思った。自分が何者なのかをその時初めて知った。

その気づきとは別に過去のトレード全般を振り返ると小さな損失を幾重にも重ねながら、最終的にプラス収支で終えられていたことは一つの事実を示しているとも思った。FXはそのトレードの中でいくつかの大きな波に乗らなければ生き残れないということだった。少なくとも私というトレーダーは大きな波を捉えてその利益でもってトータルの収支をプラスにしていくことができるトレーダーだと思った。必然的に小さな損失を重ねていることが私の弱点であり、この小さな積み重ねを少なくすることが私にとっての目指すべき道なのだということがわかった。

私は波形トレーダーで大きな波に乗ることによって全体の利益を押し上げるスタイルを持っている。しかし同時に、小さな波に乗ることは苦手でその小さな波のなかで利益を伸ばそうとするから何度も失敗して損切りしている。

トレードの中で精神面への影響もつぶさに調べる必要があった。前述のトレード記録を見ると1500回ものトレードをしながらそのほとんどが損切りばかりで平均損益は0.3pipsだった。それが私を途方もなく追い込んで、トレードへの恐怖をあおった。それなのにトレードをしていたのは挽回しなければという思いゆえであったし、挽回できた時の喜びや興奮が私を釘づけにしていた。私はFXに依存していると思った。

健全なメンタルとは程遠い状態の中で一冊の本に出合った。

マーク・ダグラスの「ゾーン」だった。本を読みながら、オーディオブックで耳からも聞き込んだ。そのおかげもあって、壊滅的だった精神はある程度持ち直すことができた。だからロスカによる退場をしなくて済んだと思う。

ただしそれですべてが改善したわけでもなかったのでトレードの成績もよくなったわけではなかった。しかしこうした経験によって、私の敵は私に中にいるということを実体験によって大いに自覚できたのであった。無謀なトレードにのめり込む前にこうした読み物は他にも読んだことはあって、それらはトレードの心理面への作用を説いてはいたが、自己認識とは結び付きづらかった。実体験をしていなかった、または自分はその指摘に当てはまらないと思っていたからだった。なるほど、私の敵は確かに私の中にいた。慢心と欺瞞が私自身を欺いていた。

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波の完成形を見たい波形トレーダー

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