ここの所、自分のトレードの核となる理論が徐々に明瞭になってきている。
それに合わせて実際にチャート上でどのように展開するかということにも意識的に取り組んでいるわけだが、フラクタルという概念のチャートへの適用については、なかなか言葉にするのが難しい部分もある。
過去にフラクタル構造論に関する論述は繰り返して来たが、タイトルの構造否定フラクタル理論の初出は下記の記事だ。
この記事の中で、この理論を次のように纏めていた。
【構造否定フラクタル理論】
・構造否定=初期条件を固定する(どの構造を否定したかで階級を揃える)
・日足終値承認=ノイズを落として初期条件を強くする
・優位性の低い波を別シナリオ扱い=カオス由来の分岐を“誤り”ではなく“分岐”として管理する
・昇格条件=分岐の後に「大衆の合意」が乗った枝だけ採用する
ここでいう階級とは、波のスケールのことだ。H1の足なのかH4の足なのか日足なのか…、どの構造を基準とするかを定めることを指す。
問題は次の項目だ。
日足終値承認=端的に言えば日足の確定を待ち、その実体でブレイクしたかどうかを見る観点だが、ノイズを落として初期条件を強くするというのは、構造否定ラインを設定する時にネックになる場合がある。
構造否定ラインとして最も有力視されるものは日足の実体が数本揃った価格だ。
この静的な指標は確かに強力だ。
実体ラインの活用上記画像でいえば、水色四角部はその起点で実体の揃っているので日足確定後の実体が揃った上位合意のラインとして設定できるものだが、H4レベルで一時抜けるが、すぐに陰線で差し戻されている。
しかし次のブレイクでは日足終値でしっかりと上抜けしているため、ここからの押しが効いて強い上昇となった。
また黄色四角部もその起点に引かれるラインと先ほどの水色四角部のラインが日足実体部揃いの帯として機能し、強力な壁になった形である。
このように上位足の実体部の揃いが見られる場面では、それがレジサポとして、重要な節目として機能しやすいという特徴がある。
他方、この揃いがなかなか出にくくトレード機会の醸成に繋がらない局面もあるし、あまり重要ではない局所で発現した上にその効果も限定的である場合もある。
こういった点から考えると、トレード機会を厳選するという意味ではデメリットを上回るメリットでもあると言えるし、トレード機会を増やすことができないというデメリットでもある。
上位足レベルでの揃いが確認できない時は、執行足で観察すればよい。
つまり執行足レベルでの実体の揃いや特徴的な高値安値のラインを見るということだが、これ自体は一般的な捉え方のため難しさはない。
それよりも重要なことは実体部揃い、または終値の採用とすると、水平線上にしかその決定機は生まれないことになる。
これは静的な指標とみなすことができる。では動的な指標はないのかというと、ある。
例えば上昇トレンドという構造を否定するラインは、ラス押しラインだけではない。画像にあるような黒上昇トレンドラインも構造否定ラインとして採用することができる。
この斜めの線は、時間の経過とともにその角度に沿って割り込んだ時の価格が異なるというのが水平線との大きな違いだ。
そもそもダウ理論における高値安値の更新を視覚化してみると、その価格は時間の経過と共に変遷しているという事実が黙認されている。誰も気にも留めていないのだが、事実だ。
高値安値の価格更新=時間が経過しているよって、チャート上で確認できる二次元的構造はその全てが、実体揃いラインという静的指標と、波のダイナミズムによって生まれる動的指標を持っているということができる。
この2つの指標の共存性の確定は、フラクタル現象の解像度を上げることになる。
一般的なフラクタル構造論のチャートへの適用は、上位足⇔下位足における同型のパターンの抽出によって説明される。
私の中のフラクタル構造論は過去から現在に至る時間の中に生まれる。上下ではなく左右であり、過去から現在という、時間推移により一層フォーカスする捉え方だ。
この事実は、上下観測を同時間の同時確認に縛られない運用を可能にする。
ただし合意の採用は、上位足実体を優先する。
通常のフラクタル構造論を用いたトレードでは、例えばH4で下降トレンドを確認し、M15で下降トレンドを確認する。H4とM15で下降トレンドが確定する場面=押し安値のラインブレイクするポイントからエントリするというやり方が一般的だ。
H4でピンクの下降N波動を確認
M15で黒の下降N波動を確認H4の下降トレンドが黒水平線を下抜けするタイミングでM15で同じように下抜けするタイミングを見計らって仕掛ける。画像2枚目でいうと水色四角部からのエントリとなる。
これに対して過去から現在といったスケールで見ると、必ずしも同じ時間軸上のフラクタルを用いる必要がなくなる。
もっと言えば、波形そのもののフラクタルを観察すればいいということになる。
波形そのもののフラクタルとは、端的に言ってチャートパターンだ。Wボトムや山尊といったパターンである。
これを同一時間軸上で探そうとすることが一般的なフラクタル手法だが、そうするのではない。
我々はチャートパターンというものを認識している。
天井圏で現れるパターン、底値圏で現れるパターンなど様々だが、その形を用いてトレードしようとする試みこそがすでにフラクタル手法なのである。
つまり、認知の問題なのだ。
我々はチャートパターンとフラクタル構造を何か別物のように取り扱っているが、チャートの中に生まれるパターンとは、そのものズバリ自己相似の姿だ。
世間一般のフラクタル構造論の示す実務の取り方を真に受けて、まるで上位下位の階層構造の中にしか存在しないかのような誤認をしがちになるが、実際はもっと広範な流れを汲むものだ。
そこが天井圏である時、そこが底値圏である時、といった前提条件の元、そこに現れやすいチャートパターンを待つ。
そしてそのパターンの形成に期待値を見出し、その波形の完成するところに賭ける。
このトレードの本質を言い換えれば、フラクタルとは秩序であるともいえる。
秩序立った値動きは力強くパターンを形成する。それまでの無秩序なカオス的振る舞いとは一線を画すものだ。
無数の分岐はその一つ一つが未来の可能性を示すが、それがある時を境に拡張(エクスパンション)していく姿がフラクタルの姿だ。
過去の値動きを支配波とし、その影響下で現れる継承波として、トレンドを確定させていく動きだ。
この事実によって、チャート画面に見切れていようがその範囲内にあろうが、または底値圏であろうが天井圏であろうが、その流れ(=その時のチャートを動かす原動力としての支配波)の中に生まれた構造は、総じて自己相似性を持つ。
この一文の意味するところは、世に名づけられている波形だけではない様々な波形も、その相似性が特定条件で発現するのであれば、有力なトレードの手掛かりになるということだ。
例えば、Wトップと一言で言っても、様々な形がある。
左肩と右肩の高値が揃っているものや、右肩下がりになっているもの。その谷がハイウエストであったり谷自身がWボトムであったりと実に多種多様だ。
このWトップの系に分類することができるものをどのように認識するかで、相場のフラクタルへの理解は変わってくる。
系に類することによって、Wトップ型だと認識できれば、その時点で名づけられていないパターンを類似系という分類によって波形認識していることになる。
これがWトップではなくトレンドの確定を示すN波動であればどうか?
実は相場の全ての値動きはN型の自己相似なのだ。
ゆえに我々はチャート上にWトップやNの類型を定義すればその数だけチャート上のフラクタル現象を多く認識していることになる。
このような考え方によって、構造否定フラクタル理論はより具体的な進歩を得る。
【構造否定フラクタル理論】ver.2
・構造否定=初期条件を固定する(どの構造を否定したかで階級を揃える)
・構造把握=上下だけでなく過去から現在までの時間経過の中にも見られる
・終値承認=ノイズを落として初期条件を強くする
・上位合意と下位合意=ヒゲより実体、1本より2本、下位足より上位足
・優位性の低い波を別シナリオ扱い=カオス由来の分岐を“誤り”ではなく“分岐”として管理する
・昇格条件=分岐の後に「大衆の合意」が乗った枝だけ採用する
この理論の実用体系として、観測軸の固定という立ち位置の表明が最初に必要になる。
【観測軸の固定】
1) 実体合意を優先する
ヒゲより実体。1本より2本。下位足より上位足。
①最良の形として、上位足の実体が揃う価格を、まず「合意」として採用する。この合意は方向でもよいし、ネックラインでもよい。
②上位足の揃いが見られない場合の次善策として、上位足の実体位置を見る。
③上位足環境下で有力な水平線が見られない場合、下位足の実体揃いもしくは実体部、あるいは最高値最安値を見る。
2) 判定は終値で統一する
否定・合意・確定は終値で揃える。
例外は「全否定ヒゲ」のときだけ。前後の実体の揃いを採用する。
全否定ヒゲとはそれまでの流れをヒゲですべて巻き戻す動きのこと。いわゆる「行って来い」のことを指す。
3) 主役の線は1本に絞る
その検証の要となる構造否定ライン(S)は1本。
構造否定とは、価格の上下そのものではなく、それまでの状態判断を維持できなくなる局面。
※状態判断:相場をどう見立てているか。上昇/下降、押し目/戻り、レンジ、転換等。
観測軸の固定ができたら、次はその構造否定ラインを主役にしたA/B分岐を用意する。
平たく言えば、ブレイクしたらこうするというAの選択肢と、ブレイクしなかったらこうするというBの選択肢だ。
ここでは例としてブレイクという言葉を使ったが、別にブレイクにしか使えないわけではない。
自分で設定した要件成立でA、要件破綻でBという形が取れればよい。
そして合意方向を踏まえた到達目標を確認する。
到達目標は「根拠の重なる価格」だ。N波動の3波動目の位置や、上位合意ライン、MA帯など複数の根拠が重なる価格が望ましい。
構造否定フラクタル手法の展開上記はポンドルのH4チャートだ。上位日足のローソクを赤枠と青枠のローソクとしてオーバーラップさせている。
このWボトムからの上昇局面を用いて構造否定フラクタル手法を解説する。
主役はWボトム成立(=等倍エネルギー征服)のためのトレンド転換が成功するかである。
構造否定ラインは青水平線だ。上位足の実体が揃うラインでもあり、Wボトムというチャートパターンで見た場合のネックラインとして強力に作用する最高値のラインでもある。
今回のように1本にできない場合は帯として捉えるのも有効であるし、1本にこだわるならばいずれか1本を任意に選べばよい。
今回のケースでは下位足最高値部のラインが有力である。なぜならチャートパターンの形成中だからだ。
主役と構造否定ラインを決めたら。A/B要件を決める。
構造否定が成立すれば、押し目からのロングが狙えるので、これをAとする。
構造否定が非成立であればパターン変形や下降トレンド継続と見て様子見とすればよいので、これをBとする。
チャート進行を観察すると、赤波で示したように、上位足終値実体を伴って構造否定ラインを上抜けた。
これがこのラインで阻まれて再度下落するならば緑波のような値動きも可能性の1つとしてイメージできる。
エントリー執行の具体的手順については、基本的には短期MAへの寄り付きと短期EMA/SMAのゴールデンクロスを待つということになる。
短期MAの上で価格が確定(合意)した所を狙ってロングすればよい。
この理論体系に基づき、構造否定の1波と上位トレンドを下位足で回転させていくと下記の画像のような捉え方ができる。

構造否定の1波はチャート上の最安値ではなく、構造否定を成立させた直接の波とする。青水平線が2本引ける状況では高値側をどこに置くかで迷うかもしれないが、明確に上抜けた高値側でよい。
このケースでは構造否定1波の起点は変わらない。
利確候補はこの等倍位置で、戻り高値の赤水平線と長期SMAの交錯するポイントが根拠の重なる価格ということになる。
ここで半値決済し、上位合意位置として推定できるWボトムの等倍位置や一般的な底値として設定できるWボトム右足底値を起点として赤波の等倍位置が上位における到達目標となるので、ここで最終決済とする。
構造否定3波と上位赤波3波がそれぞれ成立したら、上位3波を新1波として3波の到達目標をみる。
ここでの下位足の振る舞いはWボトム等倍位置と3波到達地点の揉み合いを上抜けした青波を新構造否定の1波として、その等倍位置を利益確定候補位置とする。
トレンドそのものについてはフィボナッチエキスパンションとフィボナッチタイムゾーンを用いて、161.8%/261.8%ラインとタイムゾーン5/8を目途にしておく。
明確な5波動が観測できそうであれば、構造否定波動のカウントと重ねて合意が重なるような価格になるかを確認するといった手順になる。

この構造否定フラクタル理論というものは革新的でもないし、斬新なものでもないと思う。
既存の理論体系に対する固定観念や認知の歪みを検めて、再構築したに過ぎない。
特別なことはしていない。独自といってよいと思われることは既存のエリオット波動論を再解釈した構造否定の1波の定義と、N波動を重視する姿勢がすなわち相場におけるもっとも再現性の高い自己相似を狙ったものであるという帰結だ。