波は整合性を取りに来ると考えている。
波が自己相似性を持つものであるならば、3波が1波の等倍以上となる結果をもたらすことはその仮説を実証するものだ。
WトップやWボトムがその等倍位置まで価格を進めることがパターン化しているならば、それはチャートに内在するルールであると言える。
ここでダウ理論における1波の定義を改めて考えてみる。
ダウ理論では安値と高値がそれぞれ切りあがるならば上昇トレンドの継続という形が完成したとみなせる。
つまりNの形が見えたら「上昇トレンド」が完成し、さらにNの形が繋がって高値と安値がそれぞれ切りあがると、「上昇トレンドの継続」という形が完成したと定義できる。
最高値から生まれた波が直前の押し安値を下回ると、上昇トレンドは崩れる。この崩れが転換シグナルという。
1波が確定するには、押し安値を下回ったあとに切り返して上昇の2波が始まる必要がある。
ここで重要なことは押し安値を下回ることである。
また下降トレンドから上昇トレンドへの転換の場合は、戻り高値を上回ることである。
つまり戻り高値や押し安値を超えることが重要ということだ。
画像はある日のユロドルのチャートだ。

チャート左端の最高値から始まった下降トレンドは水色四角部でWボトムを作って反転し、上昇トレンドとなった。
ピンクトレンドラインの他、黒チャネルの他、黄色水平線、黒水平線、緑水平線、青水平線が描写されている。
また細い赤と青の線で複数のローソク足が一塊に囲われているものは、現在の4H足のチャートに日足のローソク足を描写したものとなっている。
水色四角部のWボトムから始まった上昇波動を見ると、水色四角部のWボトムはその等倍まで価格が進行したことにより、波形としては完成したと言える。
またピンクトレンドラインを上抜けしたことで、転換シグナルが発生したと言える。
その後の押し目の位置を観察すると、ピンクトレンドラインと複数の移動平均線が交差する位置となっているため、緑垂直線のローソク足確定するところからロングエントリーできる。
ここで問題となるのは、N波動でみて、1波の値幅分を3波の起点に当てて、その値幅分のエネルギーを取ろうという試みである。

2枚目の画像にはWボトムを新たな1波の起点として見た時の3波到達位置を探ったものだ。
灰色の斜線で示す1波と3波の値幅と、赤色の斜線で示す1波と3波の値幅を描写した。
灰色の斜線からいくと、ダウ理論によれば1波の起点の取り方としては適切だと思われる。では1波の終点はどこだろう。
直前のダウントレンドの戻り高値を超えた波を探ればいいのだが、黄色四角部の値動き時点では、緑水平線のWボトムネックライン(=直近の戻り高値)を超えていない。
黒水平線まで上昇が続いて初めて戻り高値を超えたと言える。そこから2波の下落がピンク下降トレンドラインと移動平均線の交差するあたりに押し目を作った。
よって、1波の終点はこの位置で間違いがないといえる。
しかし灰色の斜線でWボトムの底値からこの1波の終点までの値幅をNのイメージで3波に当てると、実際の価格は届いていない。波は整合性を取らなかったのだろうか。
3波のスタート時点ではこの灰色斜線の値幅分をあてがった時、青チャネルの天井位置に差し掛かるポイントなので決済位置候補として申し分ない形となっている。
今度は赤色の斜線の値幅で考える。
Wボトムのネックラインである緑水平線の戻り高値を超えた波の始まった位置を1波の起点とした場合だ。
これを先ほどと同じように3波の起点にあてがうと価格はほぼそのポイントで切り返していくこととなっているのが事実として確認できた。
Nの字の形そのもののイメージで見た1波の起点と、実際の波動における1波の起点の定義はその適合に問題があるのだろうか。
しかし波は整合性を取る、というのが私の中にあるFXの真理的事実だ。
昔の私は灰色の斜線で考えていたが、今の私は赤色の斜線で考える。
これは直近の波を追いかけるという私のルールに基づくものである。
例えその波の始まりが小さくとも、見過ごさない。「Wボトムのネックライン(=戻り高値)を超えた波」という構造的な波として捉える。
この認識の仕方をすることによって、赤斜線でのNの取り方はその価格の到達点によってその適性を示していることが分かった。
私の中の1波の定義は1つではなくなった。
世間一般の最安値を起点とする見方でなくとも、波の整合性は確認できるのだ。

3枚目の画像ではラインを極力排除してみた。
青水平線に注目すると、この価格はWボトムのネックラインの捉え方に変化を与えた。
4時間足のチャートに日足のローソクを描写すると、この価格は日足のローソク足の実体で止まった位置であり、水色四角部の値動きは日足のローソクの実体を伴ってこの価格を超えていたのである。
ヒゲ先で見るのか実体で見るのかという項目において、より揃っていてその後の値動きに影響を与えた方を採用するというのが私のルールだ。
さらに加えると、上位足のローソクを優先することにしている。
この場合は日足のローソクの終値を日足のローソクの終値で上抜けた形である。これは明らかにルールに合致している。
ここがネックラインを超えた1波であると仮定する。
この波を1波として3波分を取るとすると波の規模が小さいので、エリオット波動論による取り方に準じてみる。
エリオット波動論では5波推進波と3波修正波がある。そして3波の目標値の取り方は、フィボナッチエキスパンションを使う。
チャートに描写すると、161.8%のラインでローソクは止まり、反転している。この反転は4波を生む波と解釈する。
重要なことは、この波はエリオット波動論とフィボナッチエキスパンションを用いることによってほぼストレスなく、波の整合性を証明しているということだ。
では私が最初に示した、灰色の斜線や赤色の斜線でみる取り方は不適格だったのかというと、そうは思わない。トレード対象として不適格だっただけだと思われる。
たとえば3波分の80%位置を決済位置とするというルールがあればこの灰色斜線の取り方は機能するだろうと思われるからだ。
エリオット波動論とフィボナッチの組み合わせでみる取り方は、およそ世界中のトレーダーの中でも多くの人が用いる標準的な手法だと思われる。
それに対して私の手法は1波の定義からして異なる。しかし一番価格が伸びる値幅を取ることに適している。
この差は、波の認識の仕方にあると思う。
つまりエリオット波動論は5波推進波3波修正波という5波動3波動の波のカウントに準じているのに対して、私は波の基本形であるNの形、すなわち1波2波3波のみを捉えようとしているからだ。
波が連続性を持ち、高値と安値を切り上げ続ける限り、上昇トレンドは続く。
Nの形が連続する限り、上昇トレンドは続く。
私の中でのエリオット波動論の用い方は、3波は1波より小さくならないということと、5波動目は伸びしろが少ない波であるということ、そして5波動の後には修正波によって価格が調整局面に入る場合があるという3点についてのみだ。
だから私は2回目のNを取る時は直近高値までで決済して様子見をする、といった対応策を持っている。
こうすることでエリオット波動論を否定せず、私自身の相場の捉え方も否定しない手法が共存できるのだ。
市場は大衆の合意の結果が波の形に現れる。
私のそれは波のスケールを受け取り、ただシンプルにNの形を捉え続けることだ。
波のスケールこそ大衆の合意の結果なのだから、大衆と逆行することなく流れに随伴することができている。
波は整合性を取る。
その整合性の受け取り方はやはり大衆の合意を理解することが要であった。
「実戦における使い方」
① ネックラインは上位足実体で判断
② 戻り高値超えを1波とみなす
③ その1波を基準に3波を測る
④ 合わない場合は、定義を疑う(波ではなく自分を疑う)
こんな感じで見てみると波への理解が進むのではないかと思う。
特に④を実行することを恐れてはいけない。
私たちが相場の世界で生きていくためには相場を理解しなければならない。
いくつもの波を数えてきた。いくつもの自分には乗りこなせない波を見てきた。それらはきっと私が乗りこなし方を知らなかっただけ。
相場は泣き叫ぶことも怒り荒ぶることもないただの価格の推移なのだから、ただ知りたいと思えばいいのだ。
にほんブログ村
にほんブログ村

コメントを残す