愚か者のFX-12-

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トレードってなんだろう?と考えたことはほとんどない。相場の本質や値動きの本質という言葉を時々見かけることはあった。
本質を考えるというのは、すなわちその対象の輪郭を詳らかにすることだと思う。
私たちが繰り出す言葉はなにがしかの本質を突いているようでいて、その実体は形のないものに輪郭を与えているだけだ。
心からこみ上げる歓喜の高ぶりを喜びと表現したように、相場や値動きの本質もまた何かの言葉で言い表すことができる。
私はチャートに線を引く。水平線やトレンドライン、チャート形成に関わるラインなど、複数の種類の線を引いている。
よく線なんか引かなくてもトレードできると豪語する饒舌なるトレーダーがいる。それを否定するつもりはない。
私はFXを始めた時から線を引いてきたからそれ以外の方法でうまくやる術がない。だから他の人の手法を否定しないし、私自身の手法の信頼性は私自身がよくわかっているからそれで充分なのだ。

例えば移動平均線は平均値を取るが線は最大最小値を取る。移動平均線は直近の任意の期間設定で表現するが線は完全に任意だ。
しかし期間設定自体は拡縮自由で、20本前を起点に線を引いたら、前述の平均値を取るか最大最小値を取るかの違いしかない。
ローソク足のでき方、プライスアクションが効くといわれるのはその価格に反応する過去の蓄積があるからで、すなわちチャートの左に値動きのヒントがあるからだ。
プライスアクションだけでは勝てないと言われるのはチャートの左側を意識しているかどうかということに集約される。

値動きの本質は過去の価格に対する我々の反応だ。それを繰り返しオーバーラップしているから相場はフラクタルと言われるのであって、短期足と長期足に同じNの形が見えた時に、短期足のNの肩から乗っていけば日足のNに乗って大きく取れるというのは表面的な理論でしかなくて、本質的には過去の値動きがすべての源だということを意識したらトレーダーの入り口に立てると思っている。

そしてチャートの時間軸の違いとはそのままその足を主戦場にしているトレーダーの違いが現れる。
月足にはスインガーや機関の、1分足にはスキャルパーのオーダーがある。そのポジションのサイズや量、回数は延長線上に再び反応を示す。
そういう目線があると、繰り返し反応した価格には未消化オーダーは少なくなっていると言えるし、一度しか反応しなかったなら多くの未消化オーダーが残っていると考えられる。
それが日足のラインなのか週足の、あるいは月足のラインなのかという違いによって、オーダーの規模さえ推し量れるということになる。

トレンドラインと移動平均線の傾きが近似しているとき、それは直近の値動きにおいて平均的な、つまり逸脱していない値動きそのものを示し、市場が落ち着いていると言える。
移動平均線やラインと大きく乖離しているとすれば、それは相場の過熱であり、価格を追い求めたトレーダー達の欲望と乖離しすぎたがゆえの恐怖による収束を示唆するものと言える。
すなわち線というのはトレーダーの心の動きを可視化したものであるし、移動平均線というのは感情曲線なのだろう。

そんな移動平均線やラインを頼りにしても相場の先行きを知ることはできないが、トレードプランを立てることはできる。
予想してはいけないという話も耳にするが、それでは相場観を養うことはできなかった。
チャートから与えられた情報でこの先の値動きを想定する。そして実際の実現した価格とのギャップを認識することで相場観は養われていく。
このギャップこそが自らがチャートにかけた希望の姿であり、これを排除することがトレーダーには求められる。つまり自意識を俯瞰する方法として明確に答えが得られる行為なのだ。
予想をしてトレードプランを立ててもプラン通りにならないことはたくさんある。
実際の所、確定した事実でトレードする他ないのだから、確定するまでを予想することは問題ない。確定していないのに予想に基づいてトレードすると負けるということが分かっていればいい。

究極的にはトレードとは目の前の価格に追従する行為だ。
こうなったらこうする、ならなかったら見送る。
すべては確定した価格の下に実行される。

トレードとはそういうものなのだと思う。

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