実際のエントリーを実行する時間足のチャートを現行足のチャートと言ったり、それに対して上位足の時間足で環境認識するとういう話がある。長期足として日足のトレンドを確認し、中期足として1時間足のトレンドを確認し、短期足として5分足のチャートでトレンドを確認して、各トレンドを把握するために用いられるテクニカル分析の手法で、これをマルチタイムフレーム分析という。
マルチタイムフレーム分析における最大のメリットは視野を広く取ることにより、目の前のチャートの動きに翻弄されずに大きなトレンドに沿ってトレードしやすくなることにある。FXというのは多くの個人トレーダーが参加している市場ではあるものの、しょせん個人の持つ力とは微々たるもので、チャートを形成せしめている大きな要素、すなわち世界の金融市場全体のうねりには到底敵わないものだ。それでも自分たちはそのチャートの一部であり、チャートに織り込まれている事象そのものでもある。
ここにおいて、マルチタイムフレーム分析の本質を考えてみる。軽々しく上位足のトレンドを把握するため、そして下位足にて適切なエントリーポイントを測るために用いるものだと言うだけの解説には意味がない。
一番大事なことは、今目の前にあるチャートを支配しているものが何なのかを知ることだ。このブログにおいては支配波だとか継承波という言葉で時折登場していたが、今このチャートは何の力で動かされているのかという視点を持つことで支配波や継承波といった考え方に至ることができる。すなわち上位足の力で動いているとか、支配波の影響下でチャートは進行しているとか、チャートパターンは波を超えないとか…。
下記のユロドルチャートで考えると、Nの波動やWボトム、Wトップなどがきれいに描かれている。

黒水平線の範囲=最高値と最安値の緑ブロックの範囲内における波動を支配波と読む。底値からの小さな波が青いN波動の兆しを作っている。N波動はその押し安値や戻り高値の位置が重要となるのでピンク水平線や青水平線を引く。一つ目のWボトムは青波の2波押しに現れたもので、等倍位置まで伸びると一旦の下落でのちに明確なラス押しとなる押し安値を形成した。N波動の3波の高値は1波の等倍以上であるが、チャートパターンは波を超えないので一息に天井を突くことはなかった。
最高値にてフラクタルをもたらしWトップを形成した。その等倍位置はトレンドラインを浅く割り込んだが、チャートパターンは波を超えないので2波の安値をブレイクせず、リテストの戻り高値を形成した。トレンドライン抜けを4波としてリテスト5波動である。
そのリテストからの下落を1波とカウントして二つ目のWボトムの安値を下抜けしたことでトレンドは継続し、青水平線、すなわち青いN波動の押し安値にタッチしてから2波戻りを作って3波で一番最初の小さな赤いNな道の押し安値のラインを目指した。最高値からWボトムまでの下落を1波とカウントして、Wボトムからの切り返しを2波としての逆Nはどうも1波の等倍以上の下落となった。画像には示していないがこの逆Nの1波にフィボナッチ・リトレースメントをあてがうとやはり正確に底値を示しているのである。
これらの波動はチャートに描写されている細い赤と青の枠線のローソク足、すなわち上位の週足のローソク足の最高値や最安値、あるいは実体のラインに対して素直な反応を示していることもわかる。
チャートは絶えず支配波や支配足、支配波形といったものの影響を受けている。今このチャートを支配している力の正体を読み解くことがマルチタイムフレーム分析の本質であって、単に下位足や上位足のチャートを見てトレンドを確認するだけでは不十分と考える。これが自分のチャート分析の方法のひとつで同時に重要なフィルターとして機能している。今このチャートを支配しているものの正体を掴み、その影響度の強さをもってフラクタル現象の発現を期待し、その実現をもってトレンドフォローに活かす。これはそういう話である。
人それぞれ自分なりのフィルターをもってチャートを観察している。その分析手法は多種多様で千変万化のバラエティがある。どれか一つが最適解だとは思わない。一つしかないものだとは思わない。重要なことは自らの手法でチャートの真実を見ているという自信を持つことだ。その自信によって、チャートをフォローすることができる。それはただ単にチャートについていくだけではない、その背中が指し示すチャートの真実を読み取りチャートを信じて進むことだ。
コメントを残す